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「持ち上げなくともいい。ただ押すのだ。おまえがちゃんとやりさえすれば動き出すぞ。さあ、早くするんだ。われわれにはまだたくさんやることがあるのだ」
 ガリオンは〈意志〉。
 かれはいとこのアダーラとともに丘のふもとに座っていた。かれの手には枯れた小枝とひと握りの枯れ草があった。
(用意はいいか)かれの内なる声が言った。
(こんなことをして何の意味があるんだ)ガリオンは内なる声にたずねた。(こんなことが本当に重要なのかい)
(それはおまえがいかにうまくやってのけるかによる)
(あんまりいい答とは思えないな)
(質問がよくなかったのだ。さあ、用意ができたらこの小枝を花に変えてみろ)
 ガリオンは批判的な目で作品を見つめていた。(あんまりいい花じゃなかったね)かれは弁解するように言った。
(だが必要なのだ)
(もう一回やらせてほしい)
(この花をどうするつもりだ)
(ただこうやって――)ガリオンはそう言いながら、今作ったばかりのでき損ないの花を消そうと腕を上げた。
(それが禁じられているのはおまえだって知っているはずだが)
(でも作ることはできたんだ)
(それとこれとは関係ない。この世にあるものは一切消すことはできないのだ。この花でも十分役にたつだろう。さあ、来い。われわれは急ぐのだ)
(でもまだぼくには用意ができていない)
(それは困ったことだ。もはや一刻の猶予もないのだぞ)
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